中島サマのここがすごい、『この世に二人だけ』編

あのう、暗いだけとか怖いだけとかじゃなくてですね。中島サマの歌詞のすごいところは、もう言い尽くされてはいますが、平易な言葉を繋げてものすごいドラマを浮かび上がらせているところ、です。
なので、何年も経ってからうおお！？と思ってしまうこともままあり。
例えばですねえ….『この世に二人だけ』。

「あなたの彼女が描いた絵の載った本をみつけた」
と始まるこの歌、まあ、例によって例のごとく、好きな男（そしてあたしのことをどうせ抱いたりだけはする）（いやしない場合もあるか、ただ優しいだけで）（どわああ）（まあいいとして、）には彼にふさわしい綺麗で素直で可憐で天使な女性がいるわけですよ。
でもあたしはその、彼女の描いた画集を買っちゃったりしてるわけですよ。
中島サマのすごいとこはまた、相手の女性を恨まない。いや、恨めないのよだってなんかすげえ素敵な人ばっかりなんだもん。あたしなんて彼女に比べたら女ですらないわけですよ。孔雀や鳩にはなれないわけですよ。かもめはかもめですよ。あるいはゴミよゴミ。捨てるほどの愛でいいからですよ。
まあそれもともかくとしてだ。
「二人だけこの世に残し　死に絶えてしまえばいいと
　心ならずも願ってしまうけどそれでもあなたは私を選ばない」
とまあ、いつも中島サマの世界はこうなわけですよ。
だから気づくのが遅れたのですが……..。
実はこの曲の収録アルバム、Myファースト中島サマなのです。
予感（中島みゆき）
全歌詞はこちらのサイトに。
■女神の言葉


学校に受かった19の春にワーイと買って、春中これ聴きながら5000ピースとかのパズルやりまくってたら4月のうちから五月病になっちゃって大変でしたがそれはさてをき。
そんなんなのでもう10年以上聴き続けているはずだのに。
ある日、二番の歌詞が突然立ち上がってくる。
情景はこうです。つまづいて転び（転ぶなよ）、買った画集が放り出されてページがめくられる。
「夕暮れの凩(こがらし)にあおられて
　あなたと同じ苗字が　滲む」
って……….
わかります？
わかります？
「彼女」の描いた画集。
めくれてそこに見えるのは、著者である「彼女」の名前ですよね？
「あなたと同じ苗字」って……
彼女ちゃうやん！！！！
結婚してまんがな！！！！！
奥さんでんがな！！！！！！
うわあああああああああ。
ってな気持ちにデスね、なっちゃうんですよ。素敵な国ですよ中島みゆきワールド。
さらにおとろてぃー後日談としては、ライブアルバム『歌暦(うたごよみ)』を聴いていたらですね。ライブの最後のほうに中島サマの御MCが入り、聴き取れないようなつぶやきで
「予想してくれた歌を私、歌ってないかもしれない…….ごめんね……..でも…..あたし今年は…….この曲を最後に……….歌いたかったんです……………」
って何を歌い出すのかと思えばこの『この世に二人だけ』なんですよ！！
なっなんでどうしてもこの歌を歌いたいの中島サマ！？
ギャーーー。
あれ？暗くて怖いだけじゃないヨ☆っていうフォローのつもりだったんですけど、なってます？ちゃんと。
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