ザ・ワールド・イズ・マインの回のBSマンガ夜話、無事放送終了

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 4巻 (ビームコミックス) 新井 英樹 エンターブレイン 2006-09-25 by G-Tools

はい、ちまちまお知らせしてきたBSマンガ夜話、ザ・ワールド・イズ・マインの回。突如「しばらくお待ち下さい」がはさまることもなく無事終了いたしましたね。
いや～皆さん息をするように新井作品全部読んでてすんごいおかしな磁場が発生してましたね、スタジオ。（リアルでそういうこともありましたけどね）
皆さん語りまくっておられて、しかもいやそうに（爆）。
スタジオの総意として、
・くどい
・濃すぎる
・しんどい
・重い
と皆さん大変イヤそうにテカテカ語っててすごい面白かったです。激しく同意。
いうなればこれですね、

「作りがえげつない」（キーチより）


新井読みとして視聴していてうんうんと頷ける番組でした。んが、いかんせん短い。やはり名言集だけで一時間、トシ編モン編とか、物語を前中後に分けて一時間ずつとかやらないと間に合わない。が無理。でもそんなDVD出されたら買ってしまうかも。
そして画面の下のほうに視聴者からのメールで「この作品は知らないけど読んでみたくなりました（^ー^）」とか書いてあるといやいやいやそんな顔文字とか貼ってるノリなら読まないほうがいいから！と心配になったり。
セットが素敵でした。どーんとヒグマドンの足跡が！（でもこの全景数秒しか映りませんでした、もったいない）

中央奥にはどーんとモンちゃん。人相悪ぅい。脇には機動隊員（中身は女性マネキンｗ）も出張ってました。

皆さんいろいろおっしゃってましたが、私にとっての新井英樹マンガというのはいやがらせに尽きます。新井サマから読者諸氏への渾身のいやがらせ。だって今回も改めて思ったけど、ようやく復刻して大幅加筆までして満を持して発売とあいなった『真説 ザ・ワールド・イズ・マイン』単行本の第一巻が、
これですから。

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻 (ビームコミックス) 新井 英樹 エンターブレイン 2006-08-31 by G-Tools

悪い！悪すぎるよカオが！人相が！
スタジオでも散々映るし作品紹介でまっさきにキャプチャーされる表紙ってやっぱ一巻ですやんか。それがコレですよ。
や、やなかんじ。。(;´´ω“)
勧めにく。。(;´´ω“)
ほんと新井サマったらいやがらせが得意でらして。。
今回さすがマンガ夜話、と思った、今まで意識しなかった視点というのは、
・狭い部屋の中など、密室・閉塞状態の描き方・演出が秀逸。
・描き込みの異様な緻密さが、リアリティ（＝やな感じ）を生んでいる。
というお話でした。ああー確かに、ご家庭の居間のごちゃごちゃナゾのトロフィーとか変な時計がTVの上に置いてあったり、ソファにはレースがかけてあったり。そういうのえんらい細かく描いてありますね、うん。
もっと広いフィールドで、街並の緻密さやそこを行き交う群衆一人一人の細かい描き込み具合（そして爆弾や怪物ヒグマドンに吹っ飛ばされたりする手とか足とか目玉とかもきっちり描いてあるわけで。。）、そこは読んでいてうわすごいなあ手塚先生お得意のモブシーンですかと思ってしげしげ眺めてしまったことは多々ありましたが、確かに部屋の中もすごいなあ。
狭い部屋に籠城とか（人質ぶん殴りながら精神責めとかってだから本当にどんなマンガなんだと）、そういうシーンって流れが滞ったり単調になりがちだけどそうならない、上手い、といわれていて、なるほどそういうもんなのかと思いました。
読んでいるほうとしては、ストーリーの流れの中でごく自然に籠城することになって、そこでも必然的なことしか起こらなくて、やがて外へ出て行って再び三度大暴れすることになるのもすべて繋がっているものだからぐいぐい読まされていただけでしたが、そうかそこにも新井英樹にしかできない手法が凝らされていたのだなあ。
その手法のひとつが、異常なほどの描き込み、だというお話でした。
確かに、新井作品ってちょっとだけしか出てこない端役にもえんらい細かい性格とかクセとかストーリーが設定されてるんですよね（そしてそれをぷっちりところす。人物・命に対してリスペクトがある証拠です）。それが人物造形だけでなく背景にまで行き渡っていたとは。確かに部屋ってその人の性格や生活が出ますもんね。
　*　　*　　*　　*　　*　　*
番組残り5分になってから「ラストは納得いかないよね」「あれはダメだよね」「いやいや無理矢理なりとも風呂敷を畳みきったところはすごいですよ」「そうですよ」「いやいやいや」とか皆さん言いだしまくって大変なことになってました。
あとは「ヒグマドンの全身像を出されてがっかりしちゃった、つまんなかった」といういしかわじゅん氏に対して、岡田斗司夫さんが「ええっでも大館市襲撃（巨大なヒグマみたいな生物が、都市を激走してビルとか車とか人とか吹っ飛ばし破壊しまくる、それを件の新井筆致で微に入り細を穿ち延々描き込んである圧巻のシーン）とか、ドキドキしませんでした？」
いしかわ「しない。つまんなかった」
岡田「゜゜(Д)」
岡田斗司夫さんこのあとしばらくほんとにずっとこんな(ﾟДﾟ)びっくり顔のまんまですごく面白かったです。びっくりしっぱなし。いや、あのシーンは雑誌で食い入るように読みましたよええ。凄かったですよねうん。麓に突如現れてね、ブォオオオオオオオって雄叫び上げて、ドドドドドドって爆走し出すんですよね。
あのシーンつまんなかったって、いろんな読み方があるんだなあ。
でもいしかわ氏のいうことも確かにわかるんですよね。あと、同じくラストが今イチすぎるという意見も。うーん確かに、まあ。。
特にいしかわ氏の、「物語の中でモンが神格化されていくが、ラストのほうでは作者自身までモンを信じてしまったようにみえて、それが気持ち悪かった」という指摘にはなるほどそれか！と思いました。どこか感じた微妙な据わりの悪さはそれだったのかもしれない、と。そこは確かに納得。
でも、
じゃあどんなラストだったら納得がいったのか？
と考えようとしても出てこないんですよね。。ラスト納得いかない派の皆さんには、ぜひそれぞれに「俺ならこうする」「こうならまだ」という諸説を繰り広げて頂きたかったな。
いや！それにしても面白いですねマンガ夜話。専門家のかたがたの専門的視点からの話もいろいろ聞けて、我々が普通に居酒屋とかで好きな作品に対してあーだこーだ盛り上がっちゃってるみたいなワイワイ感も味わえて。まさかこんなマイナーというかアングラな作品が取り上げられるとは本当に驚き゜゜(Д)でしたが、一時間ぎっちり楽しませて頂きました。
ああ誰かと新井英樹の話がしたい！
ワールドイズマインの話したーい！
→番組で紹介された、TWIM参考図書
→TWIM好きなキャラクター（あとで書く）

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン5巻 (ビームコミックス) 新井英樹 エンターブレイン 2006-10-25 by G-Tools

**あひる新井サマ賛歌**
TWIMマンガ夜話に降臨！その1
→その2：新井サマは『四月物語』がお好き
→その3：やっぱマンガ夜話やめたほうがいいんじゃないか？
**真説TWIM5巻,関連リンクまとめ
**キーチVS 1/2/3・キーチ8巻1/2/3・その他小ネタ1/2/3
**RIN/SUGAR